行きつけのファミレスで、友人と喋り倒す日のこと。
滞在時間が8時間になる事も ざらにあるため、トイレに行く回数は多い。
その日もトイレへ行くと、2つある個室がどちらも使用中だった。
待っていると、トイレの中から子供たちの声が聞こえてきた。
「ねえ、どうやって流すの!?」
「え、ちょっと待ってー」
そのトイレはボタン式で流すのだが、実は、ものすごく分かりづらい。
大人の私でも初めて使用したときは焦ったほどだ。
小学生くらいの子供には難関すぎる。
私は「たぶん、わからないだろうな…」と思った。
すると案の定、女の子がゆっくりとドアを開け、順番待ちをしている私に気づき、気まずそうにしている。
子供とはいえ、トイレ問題はデリケートだと思う。
知らない人に、流していないトイレ個室に入られるのは、自分が小学生の頃なら嫌かもしれない。
一瞬迷ったが、個室まで行きボタンの位置を教えながら
「ここのトイレ、分かりにくいよねえ」と精いっぱいの気休めフォローを入れる。
私はその個室にそのまま入ると、隣に入っていた女の子は出てきたようだ。
会話が聞こえてくる
「ボタン押せたの?どうやって分かったの?教えてもらったの?」
「えーっとね、、、」
なぜか、女の子は即答しない。
そこで察した。
ボタンを教えた女の子は、私の事をどう呼ぶのか考えている!
小学生なのに気を遣っている!
なんだか申し訳ない!
「えっとね、女の子が教えてくれた!」
私は、当時26歳やそこらだった。
彼女からしたら「おばちゃんが教えてくれた!」と言ってもおかしくないというのに。
小学生の気遣い力に、変な感動を覚えている私の元へ、トイレから出ていくドアの音と共に、二人揃った大きな声が聞こえてきた。
「ありがとーっ!」
なんて礼儀正しくかわいい子達なんだろう。
私は、用を足しながら応えた。
「いいえ~!(どういたしまして)」